昔食べたお菓子

昔食べたお菓子で今は食べることが滅多になくなったものがある。
故郷の味だ。
たまに帰省して、そんなお菓子を見つけることがあれば買うこともあるけれど、見つけても懐かしいと思うだけで買うことはそんなになくなった。
お土産として売られている菓子も故郷の味のひとつかもしれないけれど、私が故郷のお菓子と思うのは、昔手作りで食べさせてもらったお菓子達だ。
例えばきりせんしょと呼ばれる餅のようなお菓子だったり、がんづきと呼ばれる蒸しパンのようなお菓子だったりだ。
これらは今でも地方のお母さん達が作って、道の駅とか地元の店で売っている。でも昔はもらっていたから、いくら懐かしいとはいえ買うことに若干の抵抗がある。
けれどどうしても食べたい時期があって、産地直送売り場に連れていて買ってみた。なるほど懐かしい味なのである。
今でも懐かしく思うのは、祖母が作ってくれたまんじゅうだ。彼岸の時期になると必ず作っていたように思う。その大きさが手のひらサイズで、子供には一つ食べるには大きすぎて、しかも当時は餡があまり好きではなかったから、食べるのに一苦労した記憶がある。
たくさんくれるのだけれど、大きいから食べられないし、かといって時間が経てば堅くなってしまう。
私の父はそのまんじゅうが大好きで、堅くなったまんじゅうを焼いてまで食べていた。
今思うと餡はぎっしりで、皮がもちもちでとてもおいしかったと思う。
今食べたいと思っても、祖母はだいぶ前に亡くなってしまい、今では食べることはもうできない。
故郷のお菓子で好きだったのは地元の銘菓である羊羹だ。今では都内にあるアンテナショップに行けば買えるし、ときどきコンビニエンスストアにも置いているのをみかけるようになった。
けれど故郷はなかなかいけないから、想いだして感傷に浸るように、お菓子もまたすぐ手に入れられるとなるとその懐かしさが飛んでしまい、買いたいと思う気持ちが半減してしまう。