第二の故郷

よく第二の故郷をいうことを聞く。
自分には第二の故郷はあるだろうか。今は東京にいるから、もしかして東京を離れることになったら十数年暮らした東京は第二の故郷になりうるのだろうか。
故郷とは物理的に帰れないとしても、帰る場所だと思っている。そう思うと東京は長年暮らした場所とはいえ、帰る場所とはなり得ないような気がする。
故郷はそこに家族や、家族同然に仲のよい人達がいて、そこへ帰れば温かく迎えてくれる場所があるから故郷になりうるのであって、単に長い間住んで、慣れ親しんだ場所とは違うのだろう。
だから仮に東京から離れたとして、ここでは私は一人で住み、友達はいるもののつきあいはどちらかといえば希薄であるから、戻ってきたいとか、戻って温かい気持ちにはならないと思う。
東京はどちらかといえば刺激的な街だ。離れたとしても、”戻る”場所ではなく、昔味わった刺激を求めて”訪れる”街にしかならないのではないだろうか。
ここでもしかして、家族同然に接してくれる人達がいれば少しは違うのかもしれない。けれど、時が経ちその人達がいなくなればやはり帰る場所ではなくなる。
故郷とは、人がいなくなっても空気とか自然とか、目に見えないものでもなんとなく「お帰り」と言ってくれる雰囲気があるような気がするのだ。
第二の故郷の定義はよくわからないけれど、私の中ではそんな気がする。
第二の故郷は作ろうと思って作るものではないかもしれない。けれど故郷がひとつではなく、二つも三つもあれば、戻って心がほっこりする場所が複数あるということで、それはある意味贅沢なことであろう。
故郷は人だけではなく、その地域全体に受け入れられてその自然も空気も人からも迎えられるくらいの思い入れがないと成り立たないと思う。その地域と片思いではなく、相思相愛でないとダメなのだ。
生まれ育った場所は情があるから自然に愛することができる。そこ以外に愛せる場所がこの先はできるのだろうか。