郷土料理

都内には、世界各国の料理が食べられるように、日本各地の郷土料理を食べさせてくれるお店もたくさんある。
沖縄料理のお店は、世界の国並にあちらこちらにお店があるのではないだろうか。
故郷の味を楽しめるということで、もし故郷の名前がお店の名前になっていたり、ウリになったりすれば興味が湧く。一度行ってみたいと思う。でも私の舌が覚えている故郷の味と同じとは限らない。もしかして、こんなのは故郷の味じゃないと、がっかりするかもしれない。
知らない土地の郷土料理なら喜んでいく。それが本当の味かどうかはわからない。「もどき」かもしれないけれど、知った気になれるから、知らない人が行くにはいいと思う。
いわゆる郷土料理と呼ばれるもので、自分でも料理できるものもある。この料理たちは素材が命である。
都内では手に入らない、手に入るとしても馬鹿高い食材を使ってこそ、郷土料理が完成される。
有り物でらしいものを作ることもできるけれど、故郷の味というにはほど遠い。故郷の味を堪能したければ、現地に赴いて食するのが一番だ。
私が食べたいと思うのは甘いおこわと旬のきのこがたくさん入った芋の子汁だ。
赤飯は、ふつうは甘くなくてささげが入ったおこわであるけれど、私の実家の赤飯は金時豆の甘煮を使ったおこわだ。赤飯ではなくても、金時豆の甘煮と栗とクルミが入ったおこわは私の好物で、帰省するたびに母親に作ってもらった一品だ。
私はその作り方がわからないし、もう食べることはできないけれど、私にとって故郷の味なのだ。
芋の子汁は秋になると食べたくなる。上京してからも季節になると、友達を呼んで芋の子会をしたものだ。単に鍋を囲む会なのだけれども、温かい汁を囲んで友達と談笑する時間はとても楽しい。
きのこはスーパーで売っている定番のものだけだから、香りはしないけれど、根菜がたくさん入った芋の子汁はそれはそれで、懐かしい故郷を思い出すのに充分だ。